トレーラーハウスとコンテナハウスとの違いは?
近年、家で過ごす時間が増えたことで「自宅にもう少しスペースがほしいな」と考える方は多いのではないでしょうか。
引っ越しや、新居の購入をすることなく生活スペースを広げる方法として、トレーラーハウスやコンテナハウスが注目されています。
なんとなく聞いたことがあるこの2つにはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、トレーラーハウスとコンテナハウスそれぞれの解説と、トレーラーハウスがどのように活用できるのかについて紹介します。
Contents
トレーラーハウスとは?
トレーラーハウスとは、タイヤ付きのシャーシ(けん引できる台)の上に乗っている建物を指します。
キャンピングカーとは異なり、トレーラーハウス自体にはエンジンが付いていないため、移動の際にはけん引車が必要です。
移動が可能なことから、一般的に「車両扱い」となるトレーラーハウスですが、条件によっては「建築物扱い」になることもあります。
建築物扱いの場合には、建築基準法の対象となり建築確認が必要です。
活用したいトレーラーハウスの仕様が車両と建築物のどちらの扱いになるのか事前にしっかりと確認しておきましょう。
「車両扱い」の定義とは?
上記でトレーラーハウスは一般的に車両扱いになると説明しましたが、ではどのような条件を満たせば「車両」であると判断されるのでしょうか。
【車両として認定される条件】
・随時かつ任意に適法に移動できる状態で設置し、それを状態を維持すること。
・給排水、ガス、電気等のライフラインの接続が工具を使用せずに着脱できること。
・車検取得や基準緩和認定を受け、適法に公道を走れること。
これらの基準に則ったトレーラーハウスが「車両」として認められます。
加えて道路運送車両の保安基準第2条によると、自動車は長さ12m、幅2.5m、高さ3.8mを超えてはならないという制限があります。
トレーラーハウスに必要な税金とは?
保安基準第2条の制限内である自動車(長さ12m、幅2.5m、高さ3.8m未満)であるトレーラーハウスの場合、自動車登録証の交付、車検、自動車税の支払いの必要があります。
制限を超えている場合には、基準緩和認定書と特殊車両通行許可証を取得することによって「大型特殊自動車」の区分となります。
その場合には、自動車税、自動車取得税、重量税の支払いは不要です。
しかし、自治体によっては償却資産税の対象になります。
トレーラーハウスが建築物として扱われる場合
建築基準法第2条では、建築物を「土地に定着する工作物のうち一定のもの」としています。
車両として認定される条件を満たしていれば問題ありませんが、建築物扱いとなる場合には、建築基準法や固定資産税の対象です。
以下に該当する場合には、トレーラーハウスは建築物として扱われます。
・トレーラーハウスを移動する際に、階段やポーチ、ベランダや柵などが付いており障害となる。
・給排水、ガス、電気等のライフラインの接続方法が着脱式(工具を使用せずに着脱可能な方法)でないもの。
・車輪がパンクしている、または取り外されている。
・トレーラーハウスの設置場所から公道までに連続した通路がない。
・適法に公道を走れない
建築基準法第2条が示す「土地に定着」という言葉から、車輪がパンクしていたり、取り外されているもの、ベランダやポーチが取り付けられているものは「随時かつ任意に移動できないもの」と判断され、建築物とみなされるのですね。
トレーラーハウスの利点と注意点
車両扱いのトレーラーハウスであれば、市街化調整区や農地のような建物を建てられない土地にも設置できる利点があります。
しかし、トレーラーハウスを移動するには、けん引免許とけん引車が必要です。
それらを持っていない場合は、けん引車両のレンタル費や人件費、保険などの出費が発生しますので注意しましょう。
また、保安基準第2条の制限を超えたトレーラーハウスの移動には、特殊車両通行許可の取得が必須であり、原則、高速道路の移動はできません。一般道を走行する際でも夜間のみで、先導車が必要です。
住居用としてトレーラーハウスを使う場合には、一般住宅と同じように、風呂場、トイレ、キッチンなどの設備を取り付けられます。
風呂場やトイレは給排水工事を行うことで、一般住宅と同様に下水道や浄化槽への配管が可能です。
ただし、車両である条件をクリアするために、工具を使わずに着脱可能な特殊備具の使用が求められます。
コンテナハウスとの違い
トレーラーハウスが一般的に「車両」扱いになることがわかりました。ではコンテナハウスはどのようなものなのでしょうか。
どちらも「移動させることができる」、一般の建築物に比べて「工期が短い」「低コストで設置できる」などの点があるのですが、違う点も多くあります。
コンテナハウスは「建築物」
・コンテナハウスは、随時かつ任意に移動できないため、建築基準法により「建築物」とされる。
・「土地に定着する」コンテナハウスには固定資産税を支払う必要がある。
この2つがコンテナハウスとトレーラーハウスの一番大きな違いでしょう。
トレーラーハウスはタイヤのついたシャーシの上に乗せることで設置が可能です。
しかしコンテナハウスの設置には基礎工事と、建築基準法に適合しているかどうかの建築確認が必要です。
また、トレーラーハウスは「車両」のため、市街化調整区などの建築制限区域にも設置できますが、コンテナハウスは設置できない点に注意しましょう。
コンテナハウスの施工について
コンテナハウスを建てる場合には一般の住宅と同じような建築工程を要します。
オーダーする場合には、間取り・デザインなどの注文、基礎工事、電気・ガス・水道などのライフラインの設備を整える等が必要です。
その分、既製品を購入するトレーラーハウスに比べ、設計の自由度がはるかに高いと言えるでしょう。
コンテナハウスはコンテナの組み合わせによって、広い空間を作ったり、2階建てにしたりできるのが魅力です。
しかし、工場で箱型に組み立てたものを、そのまま運び込むため設置条件をクリアしなければなりません。
設置場所までの道のりに大型トラックが通れる、設置用クレーンが電柱や電線に干渉しない場所であるかどうかなどを事前に確認しましょう。
トレーラーハウスの利用事例
シーンに応じて設置場所を移動できるトレーラーハウスは、自宅の離れや別荘、事務所やカフェ、ホテルなどさまざまな施設として利用されています。
カフェとしての店舗に
水道やガス設備を設置すれば、カフェとして活用できます。
店舗を構えるよりもローコストで始められるため、起業を考えている方におすすめです。
カフェ以外にも、雑貨屋さんや、美容室、ネイルサロンなどさまざまなカテゴリーの店舗での運営も可能です。
在宅ワークに最適なオフィスとして
在宅ワークをされる方は、トレーラーハウスをオフィスとして使うこともできます。
コンセントも配線できるので、空調やWi-Fiの設備も調います。
また、住宅と同じ設備を取り付けることで、離れや子ども部屋としても活用することも。
まさに、新しい生活様式に適応した活用法と言えるのではないでしょうか!
まとめ
トレーラーハウスとコンテナハウスの違いについて紹介しました。
トレーラーハウスは「車両」として、どこにでも設置できることや、建築確認が不要というメリットがあります。
しかし移動させるには、けん引免許やけん引車が必要ということも知っておくべきポイントでしたね。
これらを持っていない場合には、レンタル費用や人件費、保険等の出費が発生してしまいます。
コンテナハウスは「建築物」として扱われます。
建築確認や固定資産税の支払いが発生しますので、一般の住宅を購入するのと同様の手続きや工事が必要です。
違いが分からないまま安易に設置してしまうと、建築基準法に違反してしまったり、自治体から撤去を命じられたりする場合もあります。
両者の違いをしっかり理解した上で目的に合ったものを検討しましょう!